この作品、一見、牧歌的でおだやかな世界をあらわしている様に見えるかもしれません。
確かにそうなのですが全くもって逆とも言えます。
表題の『朝』とは、或る朝のことであり、或る朝とは、人類が一夜にして消失してしまったその朝のつもりでつくりました。
がっかりしましたか。
私は来るべきその朝が、澱みきった空気から解放され、今まで見たこともない美しい彩光を放ってくれるだろうと想像し、不謹慎にもワクワクしながらこの作品をつくりました。
それでも、たとえ人がいなくなったとしても嘗て其処に人の営みがあったことだけは何とか残しておきたいと未練がましく願ったり、残された生きものたちはこれまで散々だったけど、今後は希望をもって幸せに生き続けて欲しいと身勝手な願いはつのります。
[果たして人間は、他の生きものに必要とされる存在となり得るのだろうか?]と云うあやうい命題に、私は敢えて僅かな隙間を見つけては、じにじと這いつくばりながら手を動かしています。
そしてもし、それを後退と揶揄されたり、あんたのキレイごとなど聞きたくないと言われたとしても、
「キレイごと無くしてどうすんの?
ニンゲン、キレイごとがあるから、どんなにめちゃくちゃしててもそれダメって言いながら、何とかこれまで生き伸びて来れたんじゃん!」
と、シャウトしたいと思っています。
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